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今回は、小田原市根府川にある施設、江之浦測候所についてご紹介したいと思います。
江之浦測候所とは、写真家・杉本博司氏が設立した小田原文化財団の施設で、日本文化の精髄を世界に発信することを目的としています。
今回初めてこの施設に足を運んでみて、実際のところがどうなのか。発見や感動があるのか。江之浦測候所の見どころや魅力を、小田原地元民の視点からレビューしてみたいと思います。
なお、今回載せる写真は筆者が撮影をし、ブログに載せて良いかを施設に確認しております。
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江之浦測候所の見どころ!アーティストのコンセプトは?
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江之浦測候所のコンセプトは、「人類意識の発生現場に立ち戻る」ことだそうです。杉本博司氏は、アートは人類の精神史上において、その時代時代の人間の意識の最先端を提示し続けてきたと考えています。しかし、現代ではアートはその表現すべき対象を見失ってしまったと言います。
そこで、杉本博司氏は、人類意識の誕生をその洞窟壁画で祝福した古代人の姿勢に立ち戻ってみようと提案します。古代人は天空のうちにある自身の場を確認する作業を行っていました。それがアートの起源でもありました。冬至や夏至などの天文現象を観察することで、自然と人間の関係性を探求していました。
杉本博司氏は、そのような天空を測候することにもう一度立ち戻ってみることで、かすかな未来へと通ずる糸口が開いていると信じています。
美術家、芸術家独特の感性があると思いますが『一般人が見ても素晴しいと思えば』幸いなコンセプトだと思います。
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江之浦測候所の見どころ!カフェや施設の中身は?
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江之浦測候所には、美術品鑑賞のためのギャラリー棟や石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園などがあります。
これらの施設は日本建築史を通観するものとして機能し、近隣で得られる素材や伝統工法を用いています。
また、随所には古代から近代までの建築遺構から収集された貴重な考古遺産が配されています。今回の来訪で知り得た情報をご紹介します。
なお、飲食ができるカフェは入口にある『ストーンエイジ・カフェ』一軒のみです。雄大な相模湾を見ながら忙しい毎日の時を止めてみたらいかがでしょうか?
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江之浦測候所の施設『夏至光遥拝100メートルギャラリー』
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海抜100メートル地点に100メートルのギャラリーが1つ。 健築機進的に野心的な楽が採用され100メートルの構造壁は大谷石の自然別離肌に覆われ、対面は種の支え無しに飛子板が37枚自立している。
屋根は軽量化を図った片持ちの屋根で、ギャラリー先端部の12メートルは海に向かって持ち出しとなっで展望スペースが併設される。
夏至の朝、海から外る人陽光はこの空間を数分間に渡って駆け抜ける。
ガイドブックより
1番最初の入り口になります。100メートルあるガラス張りのギャラリーを通り海側に向かい合っます。採光率の凄そうな大きな鏡です。
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高さと迫力があり高所恐怖症の方は無理かもしれません。また雨や風が強い日は観覧が出来ないです。くれぐれも落ちないように。
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江之浦測候所の施設『石舞台』
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石舞台は、江之浦測候所の中心となる施設です。ここでは、天空の測候を行うための石組みが配置されています。石組みは、古代の巨石文化にインスパイアされたもので、太陽や月の位置や運行を観察することができます。特に、満月の夜には、石組みの中央にある円形の穴から月が昇る「満月の会」が開催されます。
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これは、江之浦測候所の最大の見どころであります。夜の来訪になると周りの景色の様子がわからないので、まず初回は夕景の部に参加をしてみました。
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今回は『満月の会』に参加を出来ず、夕方になりましたが、次回は満月の会に参加をしたいと思います。
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江之浦測候所の施設『光学硝子舞台』
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光学硝子舞台は、江之浦測候所の最新の施設です。ここでは、光学硝子と呼ばれる特殊なガラスを使って、光や色彩の現象を楽しむことができます。
光学硝子は、杉本博司氏が長年研究してきたもので、光を屈折させて虹色に分解したり、反射させて鏡像を作ったりすることができます。光学硝子舞台では、光学硝子を様々な形や角度に配置して、自然光や人工光と組み合わせています。その結果、時間や季節によって異なる美しい光景が生まれます。
江之浦測候所の施設『冬至光遥拝隧道』
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一年で最も日照の短い日。冬至は一年の終点でありまた起点である。この特別な一日は、巡り来る死と再生の節目として世界各地の古代文明で祀られてきた。日が昇り季節が巡り来ることを意識化し得たことが、人類が意識を持ち得たきっかけとなった。この「人の最も古い記憶」を現代人の脳裏に蘇らせる為に、当施設は構想された。冬至の朝、相模湾から昇る陽光は70メートルの壁道を買さ、対面して置かれた巨石を照らし出す。
ガイドブックより
大人2人がゆうに通れる大きさの隧道です。光に誘われて足を進めてしまいますが、くれぐれも先端から落ちないように。
江之浦測候所の施設『小松石 石組』
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当敷地から南に2キロ程の場所に小松石丁場がある。
小松石は積層が剥離した肌に独特の形と味わいがある。この小松石を景石として三角形の苔庭に据えた。
ガイドブックより
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江の浦測候所の施設『野点席』
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蜜柑畑の石組みを再利用した野点席。冬至の朝には暖を取る為の焚き火の場となる。
ガイドブックより
江之浦測候所の施設『茶室 雨聴天』と『石造鳥居』
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茶室「雨聴天」は千利休作と伝えられる「待庵」の本歌取りとして構想された。本歌取りとは古典を引用しつつ新作にその精髄を転化させる手法を言う。「待庵」は利休の目指した侘び茶の一つの完成形と目されている。それは2畳筆業という極小空間の内に、壁面の小舞の窓から差し込む光の陰影の中で、見事な空間が構成されているからだ。当時使われた素材は銘木でもなくあり合わせの材であり、壁も質素な土壁だった。そこでは意図的に山居に籠る聖のような「貧」が演出されたのだ。私はこの待庵の寸法を一分の違いもなく写した。
ガイドブックより
鳥居の古様を残す例として、山形県小立部落にある重要文化財指定の石鳥居がある。この鳥居の形式に準じて組み立てられたのがこの石造鳥居である。柱には中世以前を思わせる矢跡がある。踏込石には古墳石棺蓋石が使われた。古墳蓋石は太古に二分割されたと思われる。
ガイドブックより
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江之浦測候所の施設『光井戸』
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陵道の中ほどには採光の為の井戸が設置されている。
井戸枠はその繋演から中世のものと判断される。井戸枠の内には光学硝子破片が敷き詰められる。雨天時、雨粒の一滴一滴が井戸に降り注ぐのが目視できるようです。
採光の為の井戸と聞いて、このような井戸にお目にかかったのは初めてです。
江之浦測候所の施設『根府川石』
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近隣の根府川石丁場から採取される根府川石は、自然肌の平滑面を持つのが特徴である。この平滑面を利用して踏石としてレベルを揃え、自然石を地表から僅かに浮かせて設置した。石を伏せるという工法の顕著な例である。
ガイドブックより
根府川には石材店が多く、それは『根府川石』の採掘、加工、販売をしております。根府川独特の石の表面は一見の価値有りです。
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江之浦測候所の見どころ!アクセス情報
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江之浦測候所へのアクセスは以下の通りです。
- 電車でお越しの場合 JR根府川駅から無料送迎バスを利用するか、タクシーで約10分です。無料送迎バスは事前予約制です。予約方法は[公式ウェブサイト]をご覧ください。
- 車でお越しの場合 小田原厚木道路の小田原西ICから約20分です。施設には駐車場がありますが、事前予約制です。予約方法は[公式ウェブサイト]をご覧ください。施設周辺にはコインパーキングやセブンイレブンはありませんのでご注意ください。
ちなみに私は原付バイクで来訪しましたが観覧後、大雨で大変でした。
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江之浦測候所の見どころ!チケット購入や見学方法
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入館料
インターネットから事前にご購入(受付期限はクレジットカード払いは2日前、セブンイレブン払いは3日前まで)
午前の部&午後の部: 3,300円 夕景の部: 2,200円
当日券をご利用の場合
午前の部&午後の部: 3,850円 夕景の部: 2,750円
江之浦測候所の見学は事前予約・入替制です。チケットはオンラインで購入することができます。当日券もありますが割高になるので事前購入をオススメします。
見学開始時刻を過ぎても入館できますが、入館は各回終了時刻の45分前までです。見学時間は午前、午後は約3時間、夕景の部は約2時間です。
それとキャンセルがきかないのでご注意ください。私の場合は天候を2日前で確認をしてから購入しました。満月の会は予約でいっぱいでした。
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まとめ:江之浦測候所の見どころ!2日前までの予約が必須の屋外アート!
江之浦測候所は、小田原市根府川にある施設です。写真家・杉本博司氏が設立した小田原文化財団の施設で、日本文化の精髄を世界に発信することを目的としています。
天空の測候を行う石舞台や光学硝子舞台などの施設は、人類意識の発生現場に立ち戻ることを促します。茶室では、日本文化と西洋文化の融合を感じることができます。
江之浦測候所では、雄大な相模湾の海景を見ることができます。また、小田原の根府川にある美しい自然や歴史を感じることができます。
また今回は『夕景の部』2時間コースなので、『午前、午後の部』では見れる『竹林ゾーン』に行けておりません。
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竹林ゾーンにある『数理模型』や『甘橘山 春日社』など見る価値は十分にあると思います。
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そして、杉本博司氏の独創的なアートに触れることで、新しい感動や発見があります。江之浦測候所は、小田原の魅力を凝縮した施設だと思います。ぜひ一度足を運んでみてください。きっと忘れられない体験になると思います、金額以上の価値はあると思いますよ。